【ざっくり解説】PCITってなに?

最近メディアでも多く見かけるようになった、PCIT。
お母さんとこどもの関係改善や関わり方について指導してるみたいだけど、一体何をするの?
今回は神戸女学院大学の國吉先生が書かれた論文を参考に解説したいと思います。
※より分かりやすいと思う言葉に言い換えて解説しています。

 

PCITとは?

正式名称を「Parent Child Interaction Therapy(親子相互交流療法)」といいます。

1970年代にアメリカで生まれた心理療法。
問題行動を持つおおよそ2歳半から7歳までの子どもとその親を対象に、セラピストの指導を受けながら子どもとの関わり方を見直し問題点を改善するというものです。
近年、虐待による精神障害や注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害に対する効果から一般にも注目されるようになりました。

治療の内容は?

基本的に、親子で遊んでいるところをマジックミラー越しにセラピストが観察し、その都度トランシーバーで改善点や注意点などを養育者にコーチする、と言う内容です。

セラピストには、精神保健分野などで高い専門的スキルを持っている人が認定されます。

まず始めに①『こども主導での関わり方(Child-Directed Interaction:CDI)』を学び、つぎに②『親主導の関わり方(Parent-Directed Interaction:PDI)』を学ぶという、2段階の流れになります。

『こども主導での関わり方(Child-Directed Interaction:CDI)』

ここでは「やったほうがよいこと」を5つ、「やってはいけないこと」を3つ学びます。

<やったほうが良いこと:PRIDEスキル>

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「親子の遊びの時間」を通して情緒的な絆や信頼感(愛着)を育むためのプロセスです。


そのため、特に年齢の低い乳幼児を対象にしています。この年齢のこどもは褒められると素直に喜び、受け入れてくれることも理由のひとつです。
なので、発達段階を見極め、対応方法を調整することが必要なのだそう。

 

<やってはいけないこと:Don’tスキル>

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質問もコミュニケーションなのでは?と思ってしまいそうですが、実は違います。質問は一見こどもの意思を尊重しているように見えますが、実は答えを「強制」しているそうなんです。「~してくれない?」「~してみようか?」なんて柔らかく言ってみたところで、内容は同じなのでやはりダメです。その下心、こどもはまるっとお見通しです(古い?)。正直、ここが一番難しそうですね。


ちなみに、この時に使うオモチャは、こどもに自由な活動と発想を促すために、ブロックやレゴ、クレヨンに画用紙、チョークに黒板などを使うそうです。ままごと等はやることが大体決まってるのでPCITには適していません。


そんでもって、5分間で、PRIDEスキルが10回以上、Don’tスキルが3回以下だと次のステージだそうです。

『親主導の関わり方(Parent-Directed Interaction:PDI)』

親子関係の基礎固めができたら、次は「しつけ」や「行動抑制」に進みます。基本的にはここまでで身につけた対応方法をフル活用します。このステップでの目標は以下の3つ。

• 親がこどもへの指示を適切に出せる

• こどもが親の指示に通日に従っているときに、親がそれに気づき、適切に褒めることができる

• こどもが従わない場合でも、そのことについて親が穏やかで冷静に対応できる

基本的に指導方法に変わりはなく、セラピストは「親子の遊びの時間」を観察、指導するみたいですが、一貫性、予測性、徹底性のある「しつけ方」を教わり、同時に以下のような、「効果的な指示の出し方」を学ぶそうです。
<効果的な指示のための8つのルール>

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第2段階では、遊びの時間の途中で「こどもが親の言うことをきく時間」が入るのが特徴です。

<「こどもが親の言うことをきく時間」の進め方>

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まず、何回か連続して指示を出して、全部できれば褒めてあげ、また遊びに戻ります。
できない場合は「3分間の椅子」というのに座らせ、3分間静かに座って待たせます。
待てれば指示に戻ります。
待てずに椅子から離れてたら「タイムアウトの部屋」に連れて行き1分間静かに居るように指示します。
これを、全てクリアするまで遊びには戻れません。

その後、セラピストが習得具合を判断し、終結となります。

あくまで「治療」

「タイムアウトの部屋」なんて、なんだか荒っぽい印象を持たれたのではないでしょうか。

PCITはあくまでも問題行動を持つこどもとその親を対象にした「治療法」の一つです。

高い専門性を持った認定セラピストによってリードされていき、事前事後には詳細な説明や診断があります。加えて課題の設定から母子の安全性、こどもへの精神的な負担なども考慮して進められていきますので、実際にはあまり心配することはなさそうですが、当然ながら安易に素人が真似をできるようなものではありませんし、するべきではないでしょう。

ただ、表にしたようなスキルやルールは、私たち保育者も普段のこどもとの接し方にも役に立ちそうな内容です。参考にするのも良いんじゃないでしょうか。

 

参考文献:國吉知子(2013)「親子相互交流療法(PCIT)における限界設定の意義」
https://ci.nii.ac.jp/naid/110009675320